禁止/禁止する人形

禁止

私たちは互いを見ることができない。互いに禁止を与えられるとき、互いへの侵犯も拒絶する。目の前にいる人の見えない部分を見ようとすることは、侵害することである。その人の服の下には何があるのか、部屋で1人の時何をしているのか。この疑問は、人に対する興味と禁止を衝突させ、時にはエロティシズムへと変容する。わたしたちの世界で、人間は禁止によってぼかされ見ることができない存在である。


禁止する人形

私たちは互いに束縛する。バレてはならない思惑や人には話せない過去の言動があるように、人間は様々な言動を禁止される。そのルールは明示されないこともあるが、誰に教えられるわけでもなくコップの持ち手を持つように、禁止を肌で感じ自身を制限する。この制限は自分以外の人間がいることでより強くなる。工事中に交通整備の目的で置かれるパネルが人間の形をもしているのもそのためだ。禁止は、わたしたちが見ている世界にどれほど影響しているのだろうか。人の気配が滲むこの会場で、人形は私たちにどのような禁止を与え世界を変えるのだろうか。

猪瀬 暖基

これまで制作した作品の紹介をしております。主に人形やメディアアートに関係した作品制作を行なっております。 twitter: https://twitter.com/NF4629 instagram: instagram.com/inshrk46

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